朝食会場に響き渡った、宿の方の衝撃的なアナウンス。
「現在の積雪状況では、宿の車でも下山は不可能です」
……えっ?
ゴールデンウィークに道が塞がるなんて、実に10年ぶりの事態だそうです。
「とりあえずお昼まで待機してください。除雪が間に合えばお送りします。それまではお部屋でお休みいただくか、温泉にでも入ってお待ちください」
――まさかの、強制延長戦スタート!
……いや、これ本当に帰れるの?
「わーい、まだ温泉に入れる!」
なんてちょっぴり思いつつも、そんな呑気なことを言っている場合なのか?
もし除雪が無理だったらどうなるの……?
聞き耳を立ててみると、他のお客さんの間では「もし帰れなければ、無料でもう一泊させてくれるらしい」なんて太っ腹な噂まで飛び交っています。
窓辺に佇む「哀愁の男」と、かける言葉
とりあえず、お言葉に甘えて内湯(もちろん内湯です笑)に浸かり、のんびりと待機。

お風呂上がり、館内の廊下から外の猛烈な雪を眺めていると、一人の男性がポツンと、哀しげに佇んでいました。
お話を伺うと、なんと通行止めになる前に「マイカー」で来てしまったとのこと。
「送迎車が出ても、自分の車じゃこの雪は下りられないから……もう一泊、延泊が決定したよ」
……かける言葉が見つからない。
「えーっ、今夜もこの最高のお風呂に入れるなんてラッキーですね!」……いや、違う。
「それはそれは、ご愁傷様です」……これも失礼すぎる。
結局、脳内を一周した結果、普通に「大変ですね……!」と精一杯の同情をお伝えしました(笑)。
受付では、スタッフさんが今日宿泊予定だった方々へキャンセルの電話を入れまくっていて、現場の緊迫感が伝わってきます。
幻の「黒温泉玉子」と、おちゃめな名人
売店を物色していると、空っぽの棚に「藤七温泉名物 味付黒温泉玉子」の文字を発見。
私、温泉で茹でられた卵が可愛くて大好きなんです(変態)。
「あぁ、食べたかった……でもこんな雪の日には作らないよね」と悲しげに棚を見つめていたら、スタッフのおじさまたちが声をかけてくれました。
「この人、たまご作りの名人なんだよ! 今日は残念だけど、また食べに来てね」
なんておちゃめな紹介! 名人の笑顔に癒やされ、「絶対また食べに来ます!!」と固く心に誓いました。
突然の「脱出」アナウンス
お部屋に戻り、すっかり寛いでいた時のこと。
ふと外が騒がしいことに気づきました。
「あれ? みんな動き出してる!?」
アナウンスを完全に聞き逃していましたが、どうやら除雪が完了し、帰れることになったらしい!
危うく一人だけ山頂に取り残されるところでした(笑)。
バタバタと猛ダッシュで準備をして、送迎車へ。
12時前、宿の車は無事に動き出し、真っ白な雪の回廊を進んでいきます。
20分後の衝撃。山の天気は嘘をつかない
すさまじい雪の中を必死に下っていくと、信じられない光景が。

……御在所、めっちゃ晴れてる。
しかも、雪が全くない!!
ものの20分下っただけで、そこは別世界でした。あの山頂の狂気のような吹雪は一体何だったのか……。山の天気の恐ろしさと不思議さを、身をもって体感しました。
さらば藤七温泉、また会う日まで!
藤七温泉 彩雲荘。
さすが日本秘湯を守る会の宿。温泉は文句なしに最高!私の「露天風呂嫌い」を克服させてくれた恩人(恩宿)です。
ご飯もTOP3に入る美味しさ。
でも! 吹雪のせいでお風呂の全体像は全く掴めなかったし、名物の温泉卵も食べていない!!
これはもう、「絶対に再訪せよ」という温泉の神様からのメッセージに違いありません。
藤七温泉さん、本当にお世話になりました!
(※冬季休業。今年の営業は4月30日より。)
「また必ず来たい」――そう思える宿でした。
さて、雪のせいで予定は狂いまくりですが、「予定が狂ってからが旅の本番」です。
これからどこへ向かおうか?
つづく(次はどこへ!? 旅はまだまだ終わらない)↓