可愛いミミンコたちが吊るされた天神様を後にしようとすると、そのすぐ斜め前、静かに佇む道祖神の姿が目に留まりました。

手元の「奈良田お散歩マップ」を開いてみると、これは昭和7年に作られた、比較的新しい神様なのだそうです。路傍の神様として、縁結びや子どもの健やかな成長を願う守り神として親しまれ、今も集落の大切な文化として受け継がれているのだとか。
……それにしても、「昭和7年」をして「新しい」と言い切ってしまう奈良田の歴史スケール(笑)。新しいか古いかの感覚って、本当にその土地の歩んできた時間次第なのだな、と面白くなってしまいます。
そこからさらにトボトボと坂を下っていくと、目の前に大きな「奈良田の里駐車場」が現れました。

車で奈良田へ日帰り観光に訪れる方は、きっと皆さんここに車を停めるのでしょうね。料金は無料でした。

私がさっきから握りしめているお散歩マップと全く同じ地図が描かれた、大きな案内看板も設置されていました。

あ、よく見ると、ここにも「古民家カフェ鍵屋 臨時休業」の貼り紙が……! ちょっと離れた駐車場にまでしっかりアナウンスを貼っておくなんて、親切ですね。
えっ、薬なの!?お寺の名前「外良(ういろう)」に隠された真実

そんな駐車場のすぐ奥に、「外良寺(ういろうじ)」というお寺がありました。
このお寺には、なんとも興味深い伝承が残されています。
なんと、かつてこの地に滞在された孝謙天皇が伝えたという良薬、「ういろう(外郎)」を作っていたお寺と言われているのだそうです。案内によると、「このういろうは、現在でも小田原の薬屋で販売されています」とのこと。
……えっ!? ういろうって、あの米粉を使ったモチモチとした甘いお菓子のことじゃないの? 薬なの!? 小田原のういろうって、てっきり銘菓のことだとばかり……!
あまりにも気になって調べてみたところ、面白いことが分かりました。
実は「ういろう(外郎)」は、もともと中国から伝わった万能薬(生薬)の名前なのだそうです。
「良薬口に苦し」ということで、その薬の強い苦味を消すための“口直しのおもてなし”として作られた蒸し菓子が、現在の「お菓子のういろう」のルーツなのだとか! お菓子の方があまりにも美味しかったため、薬の名前がそのまま和菓子の定番として全国に広がったのだそうです。
ちなみに、現在も小田原にある「株式会社ういろう」さんでは、今でも「お菓子」と「薬」の両方が作られ、販売されているのだとか。
知らなかった〜……! ういろうと言えばお菓子だとばかり思っていたので、まさか秘境の山奥のお寺で、その壮大な歴史ミステリーに触れることになるとは思いもしませんでした。

外良寺の本堂の横には、かつて使われていたという立派な鬼瓦が大切に置かれていました。どっしりとした佇まいが、なんともカッコイイです。
秘境に現れる幻のかき氷店「おんみつ堂」と、まさかの行動力
外良寺から少し歩くと、今度は道沿いに「おんみつ堂」と書かれた、なんとも気になる味のある木の看板を見つけました。

調べてみると、なんとここは、あの東京・谷中の超有名かき氷店「ひみつ堂」で修業された店長さんがプロデュースする、ふわふわかき氷のお店なのだそうです!
普段は営業しておらず、夏の期間限定。早川町産のはちみつやメープルシロップ、ブルーベリーなど、地元の厳選素材をたっぷり使った自家製蜜のかき氷が食べられるのだとか。
……で、実はこの奈良田の記事を自宅で書いていたら、我慢できなくなってしまいまして…
気がついたら私、本家の「ひみつ堂」さんへ今、かき氷を食べに行ってきました(笑)。

こちらが、参考資料(笑)として撮影してきた「ひみつ堂」の苺三昧です。
水を一切使わず、苺と砂糖だけで作られたという自家製蜜は、圧倒的な果実感!きゅんとくる絶妙な酸味とクリームの甘さがベストマッチで、めちゃくちゃ美味しかったです……!
本家でこの感動ですから、山梨の秘境・奈良田の大自然に囲まれながら、地元のこだわり素材でいただく「おんみつ堂」のかき氷は、絶対にさらに美味しいはず。どうやら今年は7月・8月の限定営業のようです。あぁ、これは夏にまた奈良田を再訪したくなってしまいますね。
集落をぐるり一周。そして、あの気になる場所へ
おんみつ堂の看板を通り過ぎてさらに少し歩くと、見覚えのある建物が見えてきました。

今回お世話になった宿、とろとろの湯が最高だった「白根館」の前まで戻ってきました。
どうやら、これで奈良田の集落をぐるりと心地よく1周してきたようですね。
集落はぐるっと巡りましたが、私の奈良田お散歩はまだまだ終わりません。
次に向かうのは、宿の部屋からも見えていて、ずっと気になって仕方がなかった、あの美しいエメラルドグリーンの湖面に架かる大きな「橋」です。
次回は、あのスリリングな吊り橋を渡る、お散歩の延長戦へ突入します!
(つづく)↓