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​【奈良田温泉】自分で電気をつける秘境の資料館!?日本最後の「焼畑」と土に還るサバイバルハウスに感動する|奈良田温泉ひとり旅㉓

古民家カフェ鍵屋さんの特等席で、幻の果物「ポポ」のアイスを堪能し、魅惑のレジ横でお土産もしっかり買い込んだ私。

すっかりお腹も心も満たされましたが、バスの時間まではまだまだたっぷりとあります。そこで、手に入れたばかりの「お散歩マップ」を片手に、まずは鍵屋さんのすぐお隣にある「早川町歴史民俗資料館」へと向かうことにしました。

こちらの資料館、昭和30年代までこの奈良田で行われていた「焼畑(やきはた)」に関する資料や、国の重要有形民俗文化財に指定された当時の民具698点がズラリと展示されている、実はもの凄く貴重な施設なのです。

入館料は600円(※すぐ近くにある白籏史朗写真館と共通)。
ここでひとつ、これから訪れる方への重要なアドバイスなのですが、この資料館は「無人施設」となっています。

そのため、現地に券売機などはなく、チケットはさっきまで私がいた「古民家カフェ鍵屋」のレジで購入する必要があるのです。私はお会計のときに一緒にチケットもしっかり買っておいたので、準備万端で突入します!


暗闇のミッション。自分で電気をつけるサバイバルシステム

一歩足を踏み入れると……館内はしんと静まり返っており、真っ暗(笑)。
そう、ここは徹底した節電のため、「入館者が自分で電気をつけるシステム」になっているのです。

壁を探ると、普通の家庭にあるようなパチッとするスイッチではなく、工場にあるような「ちょっとしっかりめのON/OFFスイッチ」が鎮座していました。薄暗闇の中、これをガチャンと入れるのが、なんだか秘密基地の電源を起動させるみたいでちょっとワクワクします(笑)。

無事に電気が灯ると、目の前で可愛らしい「おぼこ人形」が出迎えてくれました。

暗闇からパッと現れたその姿に、なんだか「いらっしゃいませ!」と歓迎されているような気分になります。

このおぼこ人形、奈良田に古くから伝わる木製の祝い人形で、小正月に初めて正月を迎える女の子の健やかな成長と幸せを願って贈られてきたものなのだそう。現在は奈良田を代表する郷土玩具や民俗文化財として親しまれている縁起物だそうで、素朴な木肌と愛らしい表情にほっこり癒やされます。


日本最後の焼畑。先人の知恵が詰まった「100%現地調達ハウス」

館内を進むと、奈良田の暮らしの核であった「焼畑」を再現した映像コーナーがありました。

ここでもやっぱり、何をするにも一から電源を自分で入れるスタイル(笑)。

「本当に押してもいいのかな?」と、ちょっとワクワクしながら緑の起動ボタンをポチッと押すと、テレビにパッと映像が映し出されました。

映像によると、焼畑とは山林を焼いて畑を開墾する古来の農法。驚くのはそのサイクルです。なんと15年を1周期として、地力が落ちると耕作をやめ、畑が再び山林に戻るまでじっくりと放置し、また数年後に焼いて耕作するのだそう。

土から生まれる食料に生かされる身として、決して土を枯らさない。土を何世代にもわたって大切に繋いでいく。この持続可能な農法が、ここ奈良田ではダムが建設される昭和30年代まで脈々と受け継がれていました。「日本最後の本格的な焼畑」として歴史的に高く評価されているというのも深く納得です。

色々な焼畑農耕用具の展示がありますが、私が一番心を掴まれたのが、その農作業期間中に山の中で寝泊まりしていたという「アラク小屋」の展示です。

なんとこの小屋、釘を1本も使っていません。そのへんに生えている木や樹皮を、植物のツルで縛っただけという、100%現地調達で作られた究極のサバイバルハウスなのです!
木の皮を重ねただけの屋根なんて、一見すると「絶対に雨漏りするじゃん……」と思ってしまいますが、これが天然の撥水瓦の役割を果たし、しっかりと激しい雨風をしのげたというから先人の知恵には脱帽するしかありません。

しかも、この小屋の最大のカッコよさは、数年経ってその場所の耕作が終われば、「そのまま放置しても自然に朽ちて、完全に土に還る」ということ。

これ、本当に素晴らしいですよね。……なんて感心しながら、ふと「全国の寂れた温泉街で廃墟化して問題になっている、かつての巨大ホテルたちも、これくらい綺麗に土に還れたらいいのに……」なんてつい関係のない事を考えちゃいました(笑)。


大人も全力で楽しい「ボタン押し放題」の2階席

2階に上がると、早川町の広大な地形を再現した立体模型がドーンと迎えてくれました。

ここには各集落の名前や温泉地が書かれたボタンが並んでいて、押すとその場所がピカッと光るシステムになっています。

まさにボタン押し放題のパラダイス!(笑)
これは絶対に子供が来たら大喜びするやつです。……いや、大人の私も負けじと全力で楽しみました(笑)。
山深い地形ゆえに、光っている場所が陰になって見えにくく、「あれ!?どこが光った!?」「あ、そこか!」と一人で宝探しのようにボタンをポチポチ押しまくる静かな興奮。探せた時の妙な達成感がたまりません。

また、館内には昭和初期にこの地を訪れた旅の詩人・田中冬二の展示コーナーもありました。まだ電気すら届いていなかった、本当の意味での「秘境」だった時代の奈良田の姿が、彼の美しい詩集の中に今も鮮やかに生き続けています。

一文字ずつ目で追っているだけで、昭和初期の奈良田の、どこか冷涼で清らかな空気の匂いがふわりと漂ってくるようでした。


秘境の記憶を五感(と指先)で体感できる場所

最初は誰もいない静けさにドキドキしましたが、昔の奈良田の知恵と暮らしに触れられ、しかも電源も含めてボタンを思う存分押せる(笑)、最高に興味深い資料館でした!

さて、歴史民俗資料館をたっぷり満喫した後は、共通チケットを握りしめて、すぐ近くにあるもう一つの施設へ向かいます。

そこは、この南アルプスの大自然を愛した、あの伝説の写真家の世界が広がる場所でした。

(つづく)↓

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