極上の湯を誇る白根館をチェックアウトしたら、さっそくお楽しみの朝食を食べに向かいましょう!
……とその前に、まずはバス停で帰りのバスの時間を絶対に確認しておきます。なにせここは山深い秘境の温泉地、バスの本数は驚くほど少ないので、時間を間違えたら大惨事です(笑)。

現在時刻はちょうど10時。

次の帰りのバスは……よし、13時50分ですね。
ということは、次のバスまでたっぷり「3時間50分」。ここから私の、奈良田温泉観光タイムがスタートです!
奈良田温泉のバス停には、分かりやすい「奈良田の里マップ」の看板がありました。

これから朝食のために目指すのは、マップに書かれた③の古民家カフェ「鍵屋」さん。地図を見る限り、現在地のすぐ横にある「ちかみち」と書かれた遊歩道を登っていけば、すぐに到着できそうな気配です。

さっそく「ちかみち」へ進みます。

味のある木の看板には、色々と周辺の見どころが書かれていて、この遊歩道を進むだけでも奈良田を満喫できそう。

眩しい5月の新緑の中をずんずんと登っていきます。

少し進むと、風情ある石垣のところにカフェの看板を見つけました!

さらに進むと、階段が出てきます。

一段ずつ登っていくと、なんとも雰囲気の素晴らしい建物が姿を現します。

青々とした新緑のなかに、ほんのりと赤く色づいた春紅葉が映える美しいお庭。この景色だけでもう胸がときめきます。

こちらの古民家カフェ「鍵屋」は、もともと富山県砺波市にあった豪農の築200年以上の古民家をこの地に移築・リノベーションし、2015年にユネスコエコパークステーションを併設してオープンしたという、非常に趣のあるお店です。

一歩中に入ると、黒光りする太い梁や柱がどっしりと構えており、歴史の重みとノスタルジックな優しさを感じる空間が広がっていました。うーん、たまらない居心地の良さ……!

平日の10時10分頃という絶妙な時間だったこともあり、なんと贅沢にも先客は私ひとり。「お好きな席へどうぞ」と案内されたので、迷うことなく外の美しい緑と雄大な山並みを遮るものなく眺められる、広縁の席をチョイスしました。

完全なる特等席を独り占めです!
確率100%の法則。地元の恵みが詰まったお品書き
さて、一番のお楽しみであるメニューを拝見します。

表紙を見ると、そこには誇らしげに「地元の食材使ってます」の文字が。これを見ただけで、私の食いしん坊レーダーが激しく反応し、ワクワクが止まらなくなります。

ジビエ鹿肉、あめはた紅茶、早川のきくらげ、赤沢の梅、はくほう味噌、自家製ベーコン、えごま、ポポ……。
中には聞いたことのない珍しい食材もありますが、私のこれまでの経験上、「地元食材に本気のお店に外れなし――これは私が食べ歩きの末に勝手にたどり着いた法則です(笑)」

ジビエも猛烈に気になりましたが、今回は「早川大豆の鍵屋自家製味噌仕立ての生パスタ」と、前回の予告通り(笑)あのジュースを注文しました。

ほかにもメニューを見渡すと、焼酎「奈良田」や「早川町オリジナルワイン」、「早川ソーセージ盛り合わせ」など、魅力的な地元の酒泥棒メニューがずらり。危うく自分が「朝からお酒を飲める体質」だったなら、この特等席で完全に出来上がってしまうところでした、危ない危ない(笑)。
これぞ本物!海じゃなくて山の「えびジュース」の衝撃
まず運ばれてきたのは、お待ちかねの「えびジュース」です!

あ、さっそく覚えたての地元感を出してすみません(笑)。
前回の記事で学んだ通り、奈良田の方言で「えび」とは「山葡萄」のこと。決してグラスからヒゲの生えた生臭い海老の汁が出てきたわけではないのでご安心ください(笑)。
こちらの山葡萄ジュースは、南アルプスの懐に抱かれたここ早川町で、なんと10年もの歳月をかけて生み出された「ヤマ・ソービニオン」を100%使用しているのだそう。「何も足さない、何も引かない本物の美味しさ」を、いざ一口……。

「な、何これ……っ! 美味しすぎるーーーー!!」
もの凄く濃厚なのに、後味は驚くほどスッキリとした上品な甘みと深みのある酸味。正直、これまでに人生で飲んできたすべての葡萄ジュースの中で、間違いなく1、2を争う衝撃的な美味しさです!「ジュース」というより、小さなワイングラスで味わう高級な果実酒のような濃密さでした。
あまりの美味しさに、「待って!氷が溶けて薄まっちゃう!薄まらないで〜!」と心の中で叫ぶ私(笑)。じっくりゆっくり大切に味わいたいけれど、時間をかけすぎると氷が溶けるという究極のジレンマが襲いかかります。ごちゃごちゃ言わずに早く飲めよ私、と思っているところへ……
モチモチ生麺×自家製味噌。フォークが止まらない絶品パスタ
満を持して、メインのパスタが登場しました!

あぁ、これでジュースが薄まるのが完全に決定しました(笑)。けれど、目の前に運ばれてきたパスタの美しさにそんな雑念は吹き飛びます。
スタッフの方が「早川町で作っている生のきくらげを使用しています」と言いながら置いてくださったのですが、その一言だけで一気にテンションが上がりますよね。

器も盛り付けもとにかく可愛い。食器の一部には早川町内の作家さんが手がけた器が使われていると小耳に挟んだのですが、これもそうなのでしょうか。風情があります。添えられた葉っぱも、季節ごとに変えているんだろうな。
そして鍵屋だけに、箸置きがしっかりと「鍵の形」をしているのもニクい演出!細部まで本当におしゃれです。
では、冷めないうちにいただきます!

フォークで巻き上げて一口食べると、麺がとにかくモチモチ!そこに濃厚なソースがこれでもかとしっかり絡みつき、抜群の食べ応えです。
「味噌仕立て」と聞いていたので、もっと和風のガツンとした味噌味を想像していたのですが、良い意味で味噌が主張しすぎず、奥深い「コク」として絶妙に調和しています。ホワイトソースとの相性が完璧で、まるで濃厚な和風カルボナーラを食べているかのような贅沢な味わい。旨味たっぷりの鶏肉やキノコ、そして早川町産の生きくらげのコリコリとした食感が、いいアクセントになっています。
実は私、クリーム系の重たいパスタって途中で少し飽きてしまうことが多いのですが、ここのパスタは最後までまったく飽きずに、むしろどんどんフォークが進んでしまいます。なぜなら、テーブルに置かれた「これ」があったから!

それが、こちらのオリジナル辛味ソース「カラ酢っ子」!
これがもう、めちゃくちゃ美味しい。完全に癖になる味です!
原材料は唐辛子とお酢と塩だけというシンプルさ。自家製の和風タバスコのような感じなのですが、まろやかな酸味のあとにピリッと心地よい辛味が追いかけてきます。これをパスタに数滴たらすと、食欲がさらにブーストされるというか、味の深みがグンと増してフォークの速度が3倍になります(笑)。まさに、かければかけるほど食が進む魔法のソース。夏バテで食欲がないときでも、これさえあれば何でもモリモリ食べられそうな魔力があります。

サラダも、自家製の梅ドレッシングがキュッと酸っぱ旨くて最高でした。
あぁ、美味しかった!大満足のごちそうさまでした。

目の前に広がる大自然、耳を澄ませば小鳥のさえずりと心地よい風の音だけが響く広縁の特等席。

都会の喧騒を完全に忘れて、これ以上ないほど静かでゆったりとした至福の時間を過ごすことができました。
というか……美味しくて心地よすぎて、まだまだこの席から動きたくありません!
パスタもジュースもこれだけ完璧に美味しかったということは、こうなると「アレ」も絶対に美味しいはずですよね?
この景色、この空間、この料理。ここまで完璧にそろっていて、デザートを頼まない理由なんて見当たりません(笑)。
というわけで、食欲がとどまることを知らないこんぼうす(食いしん坊)、このまま贅沢な地元産デザートタイムへと突入します!
(つづく)↓