
極上の温泉で肌を「つるつるすべすべ」に仕上げ、お腹もいい感じに空いてきたところで、いよいよお楽しみの夕食タイム!
……と、ここで今回のお宿・白根館に泊まる上での超重要ミッションについてお話ししなければなりません。
実は白根館は、現在、「素泊まり専用の宿」となっています。
なので、部屋で何をいつ食べようが完全に自由。大人のわがままソロ旅には最高の設定なのですが……ここで大前提。「近くに夜食べに行ける場所も、買い出しできる場所も、この奈良田温泉には一切存在しない」と思ってください。
日本一人口の少ないこの町・早川町を舐めてはいけません!
昨年、町内に初めてできた唯一のコンビニですら、宿から20km近く離れているのです。
つまり、宿にチェックインする前に自力で食糧を入手しておかないと、秘境の夜に完全なる食いっぱぐれを起こして大パニックです(大真面目)。
もちろん、私は抜かりなく仕込んできましたよ。
今回は、私がこの日の夕食のために命がけ(?)で手に入れた、ある名物駅弁をめぐる旅路をプレイバックします!
富士駅に売ってない!?口が完全に「竹取物語」になった私の大移動
旅のはじまり、家を出て電車に揺られながら「山深い白根館へ行くまでに、どこかで名物駅弁でも買って行こうかな」とスマホで調べていました。
身延線に乗り換える下部温泉駅周辺では何も買えなそうなので、乗り換え拠点となる富士駅あたりに老舗の味がないかな〜と検索。そこでヒットしたのが、「富陽軒」さんでした。

明治期創業、静岡県富士市に本社を置く歴史ある老舗の駅弁屋さんです。長年にわたり、地域の味を詰め込んだ駅弁をJR東海道線、身延線の富士駅などを拠点に製造・販売しているとのこと。なかでも、富士名物の「竹取物語」という駅弁がめちゃくちゃ美味しそうで、私の心は一瞬でロックオンされました。
「よし、富士駅でこれを買おう!」
そう決めて、念のため富士駅のどこに売店があるのか調べていたその時、画面に衝撃の事実が映し出されました。
『現在、富士駅では富陽軒の駅弁は販売しておりません』
ガーーーーン!!!!
なんということでしょう。富陽軒の駅弁を現在確実に購入できるのは、在来線の富士駅ではなく、新幹線が発着する「新富士駅」のみというのです。
ですが、私の口はもう完全に落花生おこわやつるつるの栗が乗った「竹取物語」の口になっています。引き下がれるわけがありません。
当初の予定では、熱海駅で新幹線を降りて東海道線で富士駅を目指すルートでした。しかし、これを「新富士駅まで新幹線で行き、そこからバスで富士駅を目指す」というルートに変更すれば、今からでも上手くいけば予定通りの特急「ふじかわ」に間に合う計算です!
交通費は余計にかかるし、乗り換えはめんどくさい(笑)。でも、食いっぱぐれを回避し、かつ「竹取物語」を食べるにはもうこれしか道はありません。私は迷わず、新富士駅へと向かいました。
使える時間はたった7分!新富士駅ホームでのイメトレとダッシュ
新富士駅の到着予定は9:32。
そこから富士駅行きの路線バスが出るのが9:45。
バス停への移動などを考えると、駅弁ハントに使える時間は実質7分ほど。事前のネット調査によるイメトレは完璧です。
新富士駅で富陽軒の駅弁が買えるのは2箇所。1階改札外の「PLUSTA新富士」か、「新幹線上り線ホーム売店」です。ですが、PLUSTAの駅弁入荷は10時頃からとのこと。9時半すぎだとまだ並んでいない可能性が高く、空振りした時のダメージが大きすぎます。狙うは、朝9時から開いている「上り線ホーム売店」一択!
よし、新富士駅に到着!

新幹線を降りた瞬間、私はすぐさま反対側の「上り線ホーム」へと階段を駆け上がりました(駆け上がったのは気持ちだけ)!
意外とすぐに目当てのホームへ渡ることができました。

ありました、昔ながらの佇まいを残す「富陽軒」の売店です!
「かぐや姫ですか?」令和のコラボに戸惑う温泉オタク

さあ、探すは事前リサーチで見た、この古めかしくて可愛いかぐや姫のレトロなイラストが描かれたパッケージ……。
「あれ?……ない?」
店頭を見回しても、あのレトロな絵が見当たりません。

でも、竹かごに入ったお弁当には確かに「竹取物語」と書いてあります。

「うーん、何十年も変わらなかった伝統のパッケージが、まさかこのタイミングでリニューアルしたの!?」と、私が売店の前で不審者のようにじーっとお弁当を凝視していた、その時。
店員さんから「……かぐや姫ですか?」と声をかけられました。
(えっ?竹取物語って書いて『かぐや姫』って読ませるキラキラネーム的なやつだったの!?)と脳内パニックを起こしつつ、もし他に「かぐや姫」という別の駅弁があったらどうしようと思いつつも「あ、はい!」とつい勢いで返事(笑)。

でも結果、無事に目当ての「竹取物語」を購入することができました(パッケージ違いではありますが)!
後から調べて知ったのですが、なんと今、この富陽軒の駅弁は「超かぐや姫」なる最新の大人気アニメと大々的にコラボ中だったみたいです。みなさんアニメありきで「かぐや姫ありますか?」と買いに来るから、店員さんもそう呼んでいたのですね、きっと(笑)。
個人的にはあの昭和レトロな絵が恋しかったですが、これはこれで、今しか出会えない激レアな限定パッケージ。贅沢な旅の思い出です!
富士山の絶景と、身延線での答え合わせ
無事に駅弁をゲットし、大急ぎで改札を出てバス停へ。
改札を出ると、壁面にドーンとかぐや姫のイラストが描かれていました。

不勉強で知らなかったのですが、かぐや姫(竹取物語)の物語の舞台って、実はここ静岡県富士市なんだそうです!なるほど、だから富士の名物駅弁が「竹取物語」だったのですね。合点がいきました。
バス停に向かうと、そこからの景色がもう、生活に溶け込む絶景、富士山!

さすが駅の名前に「新富士」を冠するだけあります。遮るもののない青空に、雄大な富士山がハッキリとそびえ立っていました。駅弁ダッシュの緊張感が、爽快な風と共に吹き飛んでいくようです。
バスは定刻通りに在来線の富士駅に到着。

身延線の改札横へ向かうと、そこには「超かぐや姫スタンプラリー」の案内看板が立っていました。これほど街をあげての一大プロジェクトだったとは……!さっき売店で「昔ながらの絵が良かったなぁ」なんて不躾なことを思って本当にすみませんでした(笑)。

こうして、駅弁探しの冒険乗り換え劇をクリアし、無事に予定通りの「特急ふじかわ」に乗り込むことができたのでした。
――って、お弁当を手に入れるまでの話だけで、気づけばかなりの長文になってしまいました(笑)。
お腹を空かせた私が、白根館のお部屋でこの「竹取物語」の蓋をいよいよ開ける実食編は、次回へつづきます!
(つづく)↓