日枝神社で巨杉の生命力に圧倒された後、いよいよ目的地である「修禅寺」へと向かいました。

修善寺温泉の地名の由来にもなっているこのお寺は、平安時代初期に弘法大師(空海)によって開かれたと伝わる古刹です。

階段を上り、立派な山門をくぐると、温泉街の賑わいが嘘のような、凛とした空気に包まれます。
贅沢すぎる「飲める温泉」の手水舎

境内に入ってまず足を運んだ手水舎で、驚きの光景が。

龍の口からこんこんと溢れ出ているのは、水ではなくなんと「天然温泉」なんです。

さすが伊豆最古の温泉地、手水舎まで温泉が引かれているとは恐れ入ります。
触れてみるとじんわり温かく、冬の冷えた指先が解けていくよう。しかもここ、「飲泉」もできるんです。

一口含んでみると、柔らかな温泉の風味が広がり、体の中から清められるような贅沢な気分を味わえました。温泉で喉を潤せる手水舎なんて、修善寺ならではの粋な体験ですよね。
見守るお地蔵様と、不思議な「だるま石」
本堂でお参りを済ませ、境内を左手の方へ進んでいくと、檀信徒会館の前で足が止まりました。 そこには、ずらりと並んだたくさんのお地蔵様。

一体一体表情が違うようにも見え、穏やかな眼差しで参拝客を見守ってくれているような、不思議な安心感があります。

また、その近くには「だるま石」と呼ばれる珍しい石も。その独特な形と存在感に、思わずまじまじと見入ってしまいました。本堂の華やかさとはまた違う、こうした境内の静かな見どころを探すのも、ゆっくり歩く旅の醍醐味です。
いつか満開の時に。春を待つ寒桜
境内に、ひときわ立派な枝ぶりの木を見つけました。

今はまだ、どこからどう見ても「ただの枝」なのですが(笑)、冬の境内の静けさに、不思議とよく似合っていました。
実はこれ、立派な寒桜なんだそうです。

花期は2月下旬から3月中旬とのこと。今はひっそりと静かな枝先が、その時期には淡いピンク色の花で埋め尽くされるのかと思うと、なんだかワクワクしてしまいます。「あぁ、次は満開の時期に合わせて来てみたいな」……そんな再訪の楽しみもできました。
ふと考えると、この修禅寺は鎌倉幕府二代将軍・源頼家が幽閉された場所でもあります。さっき訪れた日枝神社の源範頼と同じく、源氏の悲しい歴史が刻まれた地ではありますが、今はこうして季節を繋いで咲く花や、穏やかな時間が訪れる人を優しく迎えてくれています。そんな修禅寺の包容力に、すっかり癒やされてしまいました。

さて、お参りを終えて心がスッと整ったところで、橋を渡り、次はその頼家が眠るあのお墓と、母の愛が残るお堂を訪ねてみたいと思います。
つづく↓