四万温泉積善館本館宿泊記⑦｜重要文化財「元禄の湯」と隠れ蒸し湯で楽しむ源泉かけ流し

群馬県の四万温泉に佇む積善館は、現存する日本最古の木造湯宿建築（元禄4年・1691年創業）として、300年以上の歴史を刻む温泉旅館です。館内には、国の文化財に指定された浴場を含む多彩な温泉があり、「四万（よんまん）の病を治す」と言い伝えられる四万温泉の名湯が、すべて源泉かけ流しで注がれています。

ただいま13:15。積善館には元禄の湯、杜の湯、山荘の湯と3つのお風呂があります（別途有料貸切風呂もあり）。元禄の湯以外は14時からの営業なので、まずは積善館の顔ともいえる元禄の湯へ向かいます！

目指すのはこの中にある、積善館の象徴・元禄の湯！

暖簾をくぐり靴を脱いで、白い洋風の扉を開くと──

うわっ✨ いきなり広がる大正ロマンなお風呂！

※写真は積善館公式サイトフォトギャラリーより引用

脱衣場を抜けてさらに扉を開けるのかと思いきや、すぐに浴室が広がっていてちょっと驚きました。脱衣場は少し高い位置にあり、1段下ると湯気の立ちのぼる浴槽が。期待通り、雰囲気抜群のお風呂です！

１. 積善館の顔：重要文化財「元禄の湯」と「蒸し湯」

※写真は積善館公式サイトフォトギャラリーより引用

建築美と歴史的背景： 昭和5年（1930年）に建てられた浴場は、当時としては革新的な洋風・モダンなホール風の設計が特徴です。アーチ型の大きな窓から光が差し込み、大正ロマンの雰囲気を今に伝えています。

※写真は積善館公式サイトフォトギャラリーより引用

広々としていて、何人か入っても“ひとり一湯船”状態。まるで貸切のような贅沢時間でした。洗い場にはシャンプーなどがありますが、シャワーは1つのみ、ドライヤーもなし。髪や体をしっかり洗う場合は「杜の湯」がおすすめです。

※写真は積善館公式サイトフォトギャラリーより引用

「お風呂のルーツ」: 元禄の湯の浴室奥に佇む、古来の入浴形式を伝える空間で、「お風呂のルーツ」とも呼ばれます。
構造と利用法: 女湯の場合、左壁奥に2室あります。小さい扉なので見逃しやすいので注意。「使用できます」と書いてある木札を裏返して「使用中」に変え、小さい扉を開けて背中を丸めてかがみながら入ると、温泉の蒸気が満たされた狭くて暗い個室があり、斜めに寝そベれる椅子に座れます。温度は、約40℃前後と穏やかです。蒸気を全身で浴び、じっくりと心身を癒すことができます。

これがもう── 最高に気持ちいい！普通のサウナとは違い、穏やかな蒸気に包まれながらじわじわと汗が出てくる感覚がたまりません。サウナが苦手な方にこそ、ぜひ体験してほしい癒しの蒸し湯です。

【体験レポ】積善館で見つけた“隠れた感動スポット”

この蒸し湯は、積善館の中でも知る人ぞ知る隠れスポット。なんの看板もなく前情報がないと見逃してしまうほど控えめな存在です。

私が中でじっくり蒸された後、扉を開けて出ると後から来たお客さんに──

「えっ？どこから出てきたの！？」

と驚かれることもしばしば。まるで謎の扉から現れるミステリーの主人公になった気分 (笑)

そんなときに「ここは蒸し湯なんですよ」と伝えると、みなさん興味津々で中をのぞきに行きます。そして出てきたあとに決まって、

「本当に気持ちよかった、教えてくれてありがとう！」

と笑顔で言われるんです。この小さな空間で生まれる“ひとときの共有”も、積善館ならではの魅力かもしれません。一度入ったら、きっと誰かに教えたくなるそんな不思議な蒸し湯です。

※ただし、かなり狭く暗い空間のため、閉所が苦手な方は無理しないように。

せっかく「四万の病を治す」と言われる四万温泉ですから、積善館では源泉かけ流しで思う存分楽しめます。飲めば胃腸に、入れば肌に良い――体の内側と外側から効く名湯です。

項目	詳細
泉質	ナトリウム・カルシウム－塩化物硫酸塩温泉
浴用効能	美肌効果、リウマチ性疾患、運動器障害、慢性皮膚病など
飲用効能	日本三大胃腸病の名湯。慢性消化器疾患などに効果があり、館内には飲泉所があります。